鑑賞

岡崎乾二郎の絵画作品

(つづき) 以上に分析してきたような諸要素間の機能的な連鎖・網状組織は、空間的に見られた諸分節と生成の時間から見られた諸分節とが異なるという特性を持つ。空間的に識別される或る色塊は、タッチとは独立に考えることができ、したがってタッチそのもの…

岡崎乾二郎の絵画作品

以前、私は当ブログにおいて、岡崎乾二郎の絵画作品を分析すると予告しておきながら、結局のところ断念してしまった。なぜかと言えば、その分析に長大な時間と膨大な労力を必要とすることが、作品分析を始めてすぐに明白になったからだ。二、三週間ほど形に…

訂正

以前、デリダの「ジャンルの法」は邦訳がないと註のところに書いたのですが、間違いでした。「ジャンルの掟」としてすでに邦訳あり。ただいま絶版のようで、ネットの古書店で時価5千円。 あのう、もしこういう間違いを見つけたら指摘してくれていいですから…

『修行機械のサマーディ』 瀧口博昭展

四谷アートストゥディウム併設のギャラリー、ギャラリー・オブジェクティヴ・コレラティヴにて、高嶋晋一と同時に今年度の大賞を受賞したアーティスト瀧口博昭による個展『修行機械のサマーディ』が開催されている。10月31日(金)─11月16日(日)まで。11時…

『These fallish things』高嶋晋一展

この展評も長くなりそうなので、途中でアップすることにしました。なるべく早く続きを書くつもりではいるのですが。 四谷にあるアートストゥディウムにて、年に一度、アートストゥディウムの学生ないし卒業生のアーティストを対象に行われるマエストログワン…

東京は京橋の南天子画廊にて、アーティスト岡崎乾二郎さんの個展が開催されています。 わたくし、行って参りました。ぶええっくしょい。ズルルッ・・・・。 ふだんあまり絵画作品を見慣れていない方は、ぜひ、あわてず、じっくりとご覧になってみてください…

東京の四谷にあるギャラリー、『ギャラリー・オブジェクティヴ・コレラティヴ』にて、アーティスト高嶋晋一の展覧会が開催されています。 『These fallish things』、わたくし、行って参りました。ここに展示されている作品群には脳を刺激されますョ、アート…

フェルメール展のピーテル・デ・ホーホ

「鑑賞」のコーナーを全然埋めていないが、美術館やギャラリーに足を運んではいるのだ。映画館には年に数回しか足を運べないが、ビデオでなら月に10本くらい見てる。漫画は最近では『IKKI』と黒田硫黄の『新しい朝』を読んだ。黒田硫黄、ホントにスランプだ…

柳家小三治一門会

『柳家小三治一門会』を見た。出演は柳家ろべえ(「家ほめ」)、柳亭燕路(「寝床」)、柳家福治(「墓見」)、柳家小三治(「厩火事」)。中学生の頃、いっとき私は落語にはまっていた。ほとんどのラジオ放送をエアチェックし、テレビで寄席が放送される時…

『フリータイム』(3)

(つづき) 一般に、人々が互いを記述しようとする契機とは必ずしも「ほとんど不安にも似た興味」といったものばかりではないはずであり、また、互いの記述が暴力としての解釈を帰結することも必然ではないが、しかし『フリータイム』というこの芝居にとって…

『フリータイム』(2)

(つづき) たとえば、登場人物の一人が何かを語る、周りには五人の役者がいる。五人の役者達は壁により掛かったり、椅子に足をかけたりして身体を動かしているが、沈黙している。彼らの視線が語り手に向けられていることもある。まるで物言わぬ動物のような…

『フリータイム』(決定)

(つづき) だが、批評は公表されるべきでないという彼女の提案には無理がある。まずもって作家は、自分の作品についてのみならず他の作家のものについてもまた、「なぜこの作品が好きか、なぜこの作品が嫌いか」と誰かが語るのを聞きたがっているものではな…

『フリータイム』(予定)

チェルフィッチュの『フリータイム』を観てきた。 『フリータイム』の劇評を書こうとして、ふと、たまたま手に取ったヴァージニア・ウルフ(1882〜1941)の言葉にためらった。ここで彼女の作品としてはさほど重要とも思えないエッセイをあえて採り上げるのは…

熊谷守一展

冬型の気圧配置が高まるとの予報通り、風が強く吹きつけ、寒い一日(13日)。そんな中、北浦和の埼玉県立美術館(http://www.momas.jp/3.htm)へ『熊谷守一展』を見に行ってきた。同行者二人、画家の伊部年彦と芸術学のM氏。平日のためか、1時半ごろ入場して…

カラヴァッジォのリアリズム

旧約聖書外伝「ユディト記」に題材を採ったカラヴァッジォ(1571年9月28日 - 1610年7月18日)初期の作品『ホロフェルネスの斬首』において、人殺しなどやりたくないし見たくもないが、仕方なしにそうしているといったダブルバインドの状態でユディトは描かれ…