2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ロザリンド・クラウス----批評の方法(5)

(つづき) ロザリンド・クラウスによればシュルレアリスムの美学を定義し、その全生産を統合するキーコンセプトとは、「エクリチュールへと変容させられた現前性」である。「エクリチュールへと変容させられた現前性」とは、「おのずと」でありながら「再現…

ロザリンド・クラウス----批評の方法(4)

(つづき) 『シュルレアリスムの写真的条件』のなかでロザリンド・クラウスがW・ベンヤミンに言及する数は決して多くない。*1わずかな引用と言及において、クラウスがベンヤミンのシュルレアリスム論を充分に汲み、議論の俎上に載せているとは言いがたく、二…

ロザリンド・クラウス--批評の方法(3)

(つづき) ブルトンから始まるシュルレアリスムの問題ないし「矛盾」は、「現前性」と「エクリチュール」に与えられた価値の相違に起因するような、安定した価値判断のヒエラルキーの不在という点にあるのではない。*1むしろ、ブルトンの矛盾とは、オートマ…

ロザリンド・クラウス--批評の方法2

(つづき) 『シュルレアリスムの写真的条件』から抜き出した次の箇所は、クラウスによるシュルレアリスムの定義を要約してくれる。 「もし我々がシュルレアリスムの美学を一般化しなければならないとすれば、《痙攣的な美》という概念が、その核心となるだろ…