すもも画報の筆者のlifeを紹介しろとの要望にちょっとだけ応える

 この春から、都内の十条にある「ヴイ街なか」プロジェクトに参加している。「ヴイ街なか」ってナニ?という方はこちら・・・・。
 と思ったら・・・。
 ない。HPが、ない。
 ・・・・・。
 ----ガサゴソ----(資料を探す音)
 おっほん、HPがないので不肖私が代弁するとですね、「ヴイ街なか」というのは、「(株)ヴイ街なかは、安心安全な食を提供し、わけ隔てなく集える街なかの居場所を創設するために、多くの人の出資によって起ち上げられた会社です。」、と。要するに、障害者の社会参加を目的としたレストラン運営といろんなカルチャー教室の運営、もろもろの相談窓口から成り立っているもの、です。
 で。私の役回りは、障碍のある人が通うことのできる美術教室で先生をすること。先週無料体験教室を開き、来週の月曜日から本格的に教室がスタートする。一応「先生」と呼ばれる立場につく私にとって「指導」の目的は簡単なもの、彼らに美術の楽しさを自ら発見してもらうこと、これだけである。私が密かにこの仕事に乗り気になっているのは、彼らの発見が、私にもまた何かを教えてくれるのではないかと期待しているから。まァ、簡単じゃねーだろーがね。その世界では有名なとある先生に話を伺ったところ、彼らの絵が突然変わるとき、あるいは彼らが突然夢中になって描き出すときというのは、素材のおもしろさや使い方に自ら気づいたときなのだと聞かされた。それなら、私と同じだ。つーか、作家と同じだ。一緒に何かができるかもしれない、耳学問から想像をふくらませ、そう思うのである。
 耳学問ついでで教室の難しさも、いくつか教わった。ちょっとだけ紹介すると、現在では障害者アートというものが有名になりつつ一般化しつつあり、そこにはたしかにプロのイラストを凌ぐような作品も多くあるわけだが、それが商売になり始めた途端、作者が手抜きを始めたり天狗になり始めたりする・・という困ったちゃんなガッカリなこともあるらしい。注文や〆切といった市場の都合によって作品制作を劣化させられずに済むというのが、こうした「アート」の強みであり美点であると思うのだが、これでは台無しだ。あまり「アート」として売り出そうって考えもどうなのよ、と思ってしまうわけなのだ。これもまた、いわゆるアートの話と区別がつかない。
 興味深いのは、二つの見方がある、という点だ。これは障碍や障碍の程度によっても異なる話で、多く議論もあり、実にこみいっているのだけれど、簡単に言えば、美術作品としてみるか、症候としてみるか、ということだ。(障碍によって引き起こされる諸症状によって)本人が苦しめられているときの絵が面白いということがある。これは鶴見俊輔の「限界芸術」やヴォーリンガーの「抽象衝動」を通過させて考えると、そのままいわゆるアートの話にもつながってくる。難しそうだからこれから考える。(インテリだからいろんなこと考えちゃう。)←ここ、笑うとこですよ
 障碍と言っても千差万別である。何でこの人が障碍者?と思うような人もいれば、すぐにそれと分かる人もいる。周囲の人たちが抱える悩みや対応も千差万別である。(障碍を前にして、人はどうしたらよいのかなど分からないものである。だが、結局のところ、何ができるのか、どう成長してゆくのか分からないというこの点においては、「健常者」と「障碍者」に明確な違いなどあるだろうか?)誰もが天才画家になれるなどと保証できるわけでもないが、体験教室に来てくれた20〜35歳の生徒さんたちは優しくてかわいいところのある人ばかりだった。ウソでない。微力ながら彼らを守れるものならば・・・などとにわかに孤高の剣士が独りごちてしまうほどには、いい人たちだ。(「守る」とは、ここでは、彼らに代わって、彼らのいない場所で、彼らの仕事を弁護すること、彼らの/制作物の権利を主張すること、の意味である。)なるほど、純粋さのある、‘いい人’は守りたくなる。なるほど、私が誰にも守ってもらえないのは・・・ってうるさいよ。
 死んであの世に行ったときに、この世はどうだったかと神様に聞かれたとしたら、まあ、知恵ある私なら、答え次第で私のあの世での扱いがどう変わるかと計算しつつ答えるかも知れない。----そう!私の落としたのは金の斧ではなく普通の斧です!----だが、なんせ相手は全知全能の神だ。ならば人間に質問すること自体ナンセンスだ。だからこんな想定はナンセンスだ。一方で、これから生まれてくる子供たちにこの世はどうだったかと聞かれるとしたら、せめて楽しかったいいところだったと言える何かが欲しい、じゃないか。というわけだ。(わけわかんなめのオチで終わらす。)


アートビリティHP http://www.artbility.com/gallery.html
(筆者はアートビリティとは無関係です。作品の画像を見ていただきたく、リンクを貼りました)