旅行

argfm2008-08-30

 三日ほど旅に出た。各地で豪雨だったようだが、幸い晴れた。
 地元の人はよくしゃべる、あちこちで道連れの友になる。
 地元のバスにも乗る。運転手は、乗り込んだとたん、今年は客が来ないだの、パックの観光客は地元を見物するだけでカネを落としていかないだのと客の私たちにぼやいてばかりいるフツーのおっさんだったが、我々を乗せたバスがバイクの爺さんに後ろから近づいて道を空けてもらったとき、この運転手は誰に言うともなく憐れみもない声で、「じっちゃん、ごめんな」とヒトリゴトを言う。この一言で東京大好きというこのおっさんは私にとって尊敬すべき人物になった。
 とある山を片道2時間半ほどかけて登る。このルートは大正時代から続いているらしい。これがまた素晴らしいルートだ。年に数回の草野球くらいしか運動をしなくなった今の私にとっては険しい山道だったけれど、「ハイキング」と騙されて登ってしまった。労苦が嫌いな私だから、騙されなければ登らなかっただろう。
 とある山寺にも上ったが、急な坂道を30分は上らねばならない山中にある山寺には今でも人が住んで生活している。修験場も残っている。
 銀山に入ったが、その江戸時代初期の掘削の技術が大変高度なものであると解説してある。建築技術の批評眼が効かない自分が残念である。
 世界は広く、自分の一生で世界の活動の全てを味わうことなどとても出来そうにないと思い知らされる。旅から帰って夏目漱石の『草枕』を改めて読み直す。